Expo2025 REBORN PV 01
クライアントの情報
大成化工株式会社
大成化工株式会社は、大阪府茨木市に本社がある会社で、医療用のプラスチック容器を中心に、医療機器デバイス、化粧品の容器などを開発から生産まで行っています。今回の制作では、大成化工さんから直接依頼を受けたわけではなく、大成化工さんからExpo2025でのブース展示について相談を受けた、株式会社PRODUCT158の代表取締役である和田さんから連絡をいただき、UGO MOTIONへの制作依頼につながりました。和田さんは、大阪を中心に活動しているクリエイターの仲間で、普段から親しくさせていただいています。
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バイオプラスチックでREBORN
今回のプロジェクトは、2025年に大阪夢洲で開催されたExpo2025 大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにて、8月19日(火)〜25日(月)の期間に開催された一般社団法人西日本プラスチック製品工業協会(通称 : 西プラ)の複数社による展示でした。具体的には、プラスチックが環境に与える負荷が世界的に問題となっている昨今で、西プラが進めている環境負荷の低減をアピールして、プラスチック製品によって開ける未来像を来場者へ伝えることがテーマでした。大成化工さんも西プラの一員で、ブースのひとつを展示に使えるということで、アニメーションで大成化工の取り組みを紹介しようということになったそうです。
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クライアントの要望
クライアントである大成化工さんの要望は、大きく分けて2つでした。1つ目は、大成化工さんから製造しているプラスチックの多くで、バイオマスプラスチックの仕様が増えていて、環境負荷を下げることに成功していることを伝えたいとのことでした。2つ目は、開発中である複数の医療機器デバイスが、医療従事者の負荷をいかに下げることにつながるかを伝えたいとのことでした。実は制作途中に追加があって、それは医療機器デバイスの中にある冷凍保存容器が、iPS細胞の研究を進めるのにとても役立つので、そこも重点的に伝えたいとのことでした。これは、バイオマスプラスチックでREBORNの展示が行われる大阪ヘルスケアパビリオンの目玉の1つが、iPS細胞の研究とその成果である心筋細胞の展示だったからです。
企画を考える
企画の課題
企画の時点で、もっとも大きな課題となったのが、アニメーションの限られた時間内で、すべての要望を表現して伝えきることが可能かというものでした。実際にアニメーションの制作依頼をしていただいたのは、大成化工の開発チームの人たちで、伝える予定であった医療機器デバイスなどの開発を行っている人たちでした。伝えたいことは多いのだけど、伝えるためのアニメーションの時間は限られている。というのは、企業案件ではよく起こることで、UGO MOTIONの腕の見せどころとなりました。
課題克服の考え方
課題を克服するために考えたのは、伝えたいことの要点を絞ることと、グラフィックス + アニメーション + ナレーションを効果的に組み合わせることでした。これは、UGO MOTIONが担当する多くの制作案件でいつものように使っている考え方なので、それ自体は難しいことはありませんでした。
難しかったのは、大成化工さんが伝えたいことの要点をどのように絞っていくかで、特に開発している複数の医療機器デバイスの要点を絞ることでした。というのも、制作するこちらは、医療についても医療機器についての知識がほぼゼロなのです。なので、アニメーション制作のヒアリングとは別に、後日、開発チームの人たちに集まってもらって、それぞれの医療機器デバイスが、どのような場合に使われて、どのような仕組みになっていて、どのように機能して、医療従事者の負荷を下げるのか、より詳しいヒアリングを行いました。また、医療機器デバイスのサンプル品も提供していただいて、部品同士がどのように作用して、その機能が生まれるのかを実際に何度も試しました。

企画のコンセプト
大成化工株式会社の取り組み(バイオマスプラスチックの活用・医療機器デバイス・冷凍保存容器)をグラフィカルに分かりやすく伝える
企画制作のアプローチ
1つ1つの内容について、伝えられる時間が短いので、文章や説明はナレーションに任せて、視覚表現はできるだけグラフィックを中心にして、親しみの感じられるアニメーションで伝える
モーショングラフィックスの制作
デザイン
デザインで難しかったのが、それぞれの医療機器デバイスでした。デバイスはすべて用途が違いますし、仕組みも、構造も、フォルムも違います。大成化工の開発チームが伝えたいことを余すことなく伝えるためには、機能だけでなく仕組みも表現する必要が多々ありました。ですので、開発チームの人たちに、機密扱いでない範囲で、3D図面の一部を提供していただき、それを元にしてIllustratorでグラフィックスを制作していきました。
ちなみに、すべての医療機器デバイスは、真横からのものと、真上(正面の場合も)からのものの、2種類のグラフィックスを制作しています。また、シンプルな仕組みの医療機器デバイスについては友人のクリエイターに制作依頼して、グラフィックスを制作してもらっています。完成したモーショングラフィックスでは、制作したグラフィックスのすべてを使っているわけではないのですが、かなり精密なグラフィックスを完成させることができました。


レイアウト
レイアウトで難しかったのが、医療機器デバイスの多くが、横長にフォルムであることが多いことでした。デバイス全体を画面に収めようとすると、デバイスが小さくなってしまいますし、注目してほしい機能や仕組みも小さく表示されてしまいます。なので、医療機器デバイスについては、大胆にトリミングして、もっとも伝えたい箇所を大きく見せるようにレイアウトしています。細部に渡ってグラフィックスを制作している自分としては、全体も見せたい気持ちも強かったのですが、冷徹に判断してレイアウトを考えていきました。


アニメーションの制作
アニメーションの制作については、分かりやすさを大切にするため、デザイン的な「あしらい」などは使わずに、本当に必要な要素だけでアニメーションを制作しています。喋る容器の中にお薬が降ってくる場面、容器からミニタブレットが出てくる場面、空中の二酸化炭素が吸収される場面、冷凍保存容器の中で窒素が発生する場面については、After Effectsのプラングインを使って、物理シミュレーションでアニメーションを作っています。医療機器デバイスの各パーツの動きについては、基本的には実際のサンプル品に忠実になるように2Dで制作しています。After Effectsでの制作ではアニメーション的に特異な仕組みや表現は行なっておらず、基本的な仕組みを組み合わせて、モーショングラフィックスを構築しています。



制作依頼から納品までのスケジュール
スケジュール感
和田さんから打診があったのは、2024年10月ごろだったと記憶しています。そこから制作開始まで少しばかり時間があって、2025年4月ごろに制作開始が正式に決定しました。UGO MOTIONが別件で忙しかったこともあり、企画立案を始めたのが4月の後半ぐらいでした。ですので、実際の制作期間は5〜8月1週目までの3ヶ月ぐらいになりました。この期間中は、専門学校の講師業も週1日で進めていたので、とても楽しく多忙な日々となりました。
また、Expo2025 大阪・関西万博後には、海外の人が分かるように英語字幕を加えたバージョンの制作も行なっています。そちらでは、医薬などに詳しい専門の翻訳家さんに入ってもらって、英語字幕を加えています。英語字幕版については、後日、UGO MOTIONのYouTubeチャンネルにて公開を予定しています。
具体的な日程
2024年10月 ▶︎ 和田さんからクライアントなどの打診
2025年04月 ▶︎ 制作が正式に決定
2025年05月 ▶︎ 企画立案・ナレーション原稿の制作・絵コンテ制作
2025年06月 ▶︎ 医療機器デバイスの再ヒアリング・グラフィックスの制作
2025年07月 ▶︎ アニメーションの制作
2025年08月 ▶︎ 納品後にExpo2025にて公開
2025年10月 ▶︎ 英語字幕版の制作開始
2025年11月 ▶︎ 英語字幕版の納品
制作で使用したアプリケーション
Adobe After Effects
Adobe Photoshop
Adobe Illustrator
このページの執筆者
ONO NAOTO / 小野 直人
UGO MOTIONの運営者にして、モーショングラフィックスなど制作全般を担当している映像クリエイター。