新分野の開拓 3DCGキャラクターを制作

新分野の開拓、3DCGキャラクターを制作! / ウゴモーション / モーショングラフィックス企画制作 紹介画像その1

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なぜ3DCGキャラに挑戦したのか?

理由その1

それは、3DCGを制作するのに熱中できて、趣味嗜好・思考・個性がそのまま表現に反映するのが、メチャクチャおもしろいからです。モーショングラフィックスの制作で独立しようと考えたのも、まったく同じ理由からで、物心ついた時から現在にいたるまで、そういう世界が大好きで、メチャクチャおもしろいと感じてきました。
 
そもそも、クリエイター業界で仕事するようになったのは、30代中盤に専門学校で3DCGを学んだことがきっかけでした。3DCGについての基礎的な知識はあるし、専用アプリケーションも契約していたので、もっと勉強して、これで新分野を開拓して制作を受けられるようになりたいと考えました。
 

 

理由その2

それは、新分野で制作を受ける上で、圧倒的にライバルが少ないからです。これは、手描き・Illustrator・Photoshopを駆使してデザインやグラフィックスを制作するクリエイターと比べて、クリエイターの分母が少ないということです。もちろん、3DCGでデザインやグラフィックスを制作するクリエイターはたくさんいるし、優秀なクリエイターさんと比べたら、自分などミジンコです。
 
ただ、圧倒的な能力を持っているわけでもなく、ビジネスやマーケティングが得意なわけでもない自分にとって、ライバルの分母が少ないことは重要です。コツコツ勉強しながら、自分なりのユニークな立場を築いていくには、ライバルの分母が少ない3DCGが有利だと考えました。
 

 

理由その3

それは、いずれ3DCGでもモーショングラフィックスを制作したいと考えているからです。少なくとも技術的には、すぐに3DCGでモーショングラフィックスを制作することも可能です。ただ、ウゴモーションの収益を高めて、将来の可能性を広げていくことを考えると、いきなり3DCGでモーショングラフィックスを制作するのは、ちょっと無謀すぎると感じました。
 
というのも、3DCGでモーショングラフィックスを制作するのは、作業量や負担がかなり大きく、制作を受けるためには効率化や工夫が必要不可欠です。制作の効率化や工夫をするためには、制作の数をこなす必要があるわけで、それを実現するもっとも良い方法は、3DCGでデザインやグラフィックスの制作を受けることだと考えました。
 

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3DCGキャラって、どういう制作手順?

手順その1 コンセプト作り

ウゴモーションの制作といえば、まずはコンセプト作りと言っても良いぐらい、最初にしっかり考えます。コンセプトは、制作の方向性を定めるためのシンプルな言葉や文章のことで、これがそのままキャッチコピーやタイトルになることもあります。方向性がしっかり定まると、制作がスムーズに進んでいくのは、3DCGキャラクターでも同じです。
 

手順その2 デザインと資料集め

ここの手順はクリエイターによって、さまざまな方法があります。自分の場合は、制作物をまずノートに描いてみます。それで制作物の大まかな形やデザインを決めてから、Googleの画像検索を使って、制作物についての資料を集めます。3DCGのクリエイターさんの中には、制作物の資料だけ集めて、いきなり姿形やデザインを決めていく人もいます。
 

手順その3 モデリング

モデリングは、3DCGを制作するのに使用するアプリケーションで、制作物の造形を作っていく作業のことです。3DCGの世界では、このモデリングだけをする専門職もあるぐらいです。3DCGをどのように使用するかにもよりますが、ほとんどの制作で、造形をあらゆる方向から見て、破綻していないように作ることが求められます。
 

 

手順その4 ルック

ルックとは、3DCGで制作した造形が、どう見えるかを決めるための、さまざまな設定作業のことです。大きく分類すると、マテリアル設定、ライティング設定、カメラ設定などがあります。
 
マテリアル設定は、3DCGの造形がどのような質感を持っているのか、設定する作業のことです。表面がツルツルしている物体もあれば、ザラザラしている物体もあるように、光の反射、色彩、光沢、透明度、表面のデコボコなど、さまざまな設定を決めます。
 
ライティング設定は、3DCGで制作した造形や場面に、どのように光を当てるかを設定する作業のことです。3DCGでは、写真・映画・ドラマの実際の撮影のように、さまざまな方法で光を当てることができます。また、場面によっては意図的に影を作り出す必要もあります。リアル系の3DCGでは、実際の撮影方法を参考にして、ライティングを決めることが多いです。
 
カメラ設定は、3DCGで制作した造形や場面を、どの方向や角度から映像にするかを設定する作業のことです。実際のカメラと同じように、レンズの画角を変えたり、ピンボケを再現したり、カメラに動きをつけたりします。絵作りを大きく左右する設定の1つで、1つの場面に、複数のカメラを設置することもできます。
 

手順その5 レンダリング

レンダリングは、3DCGアプリケーションで決めた多くの設定に基づいて、コンピューターに計算をさせて、実際に画像を作る作業のことです。計算はコンピューターがしてくれるので、楽な作業だと考えられがちです。実際には、レンダリングにも多くの設定項目があり、設定によって画像の品質が違ってくるので、何度もテストレンダリングをする必要があり、時間がかかります。
 
コンピューターの計算速度が飛躍的に上昇した現在であっても、1枚の画像を作るだけでも、1時間以上レンダリングをする必要があることも少なくありません。また、レンダリングした複数の画像を、Photoshopなどでレイヤー構造にしたり、あれこれ調整したりすることもあります。
 

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伝統文化を、3DCGキャラクターでポップに表現!

考えの軌跡...

今回の自主制作において、私がまず考えたのが、1つのグラフィックスを作ってそれで終わりにするのでなく、1つのコンセプトに基づいて、さまざまなグラフィックスを制作できるようにしたいということでした。映画でもドラマでもそうだけど、1つの作品を制作してそれで物語が完結するよりも、シリーズ化したほうが話題になりやすいし、制作コストも効率化しやすいです。
 
もう1つ、3DCGでグラフィックスを制作する上で考えたのが、リアル路線で制作するか、シンプル路線で制作するかでした。これについては、のちのち3DCGでモーショングラフィックスを制作したいこと、自分の能力や特性などを考慮した結果、シンプル路線で進んでいったほうが良いと判断しました。
 
さまざまな種類の制作が可能で、多くの人に興味を持ってもらえて、シンプルな3DCGグラフィックスってなんだろう? と考えた結果、私が導きだしたコンセプトが「日本の伝統や文化を、キャラクターと構造物でポップに表現する!」でした。
 
私、歴史書とか読むのが大好きなので、このコンセプトであれば、あれこれアイデアが出てきます。制作に必要な資料集めも、日本の伝統や文化であれば資料が豊富にありますし、言葉や歴史背景の壁も少ないです。ついでに、日本の伝統や文化についての3DCGグラフィックスであれば、海外の人たちからも関心を得られるかもしれません。
 
というわけで、最初となる今回の制作では、「日本の伝統や文化を、キャラクターと構造物でポップに表現する!」というコンセプトを基に、お相撲さんを作ることにしました。お相撲さんだけだと、コンセプトを満たしておらず、ちょっと平凡だと感じたので、神社で行われる横綱による奉納土俵入りを表現することにしました。横綱と土俵と鳥居、これであれば、コンセプトをしっかり満たすことができます。
 

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3DCGキャラクターの制作

モデリング

横綱の肉体、頭部、化粧褌(けしょうまわし)、横綱(白色の縄)、幣(しで)をモデリング。ヘタクソな手描きから、予想外にちゃんとした造形ができたので、自分でもちょっと驚きました。横綱のポッチャリ感を表現することにこだわりました。
 
今回の制作では、カメラを横綱の正面に配置する予定だったので、背後にある横綱の結び目などは、作らなくても良い部分でした。それでも制作したのは、自分の能力を伸ばすことも重要だと考えからです。ちなみに、頭部にある「大銀杏(おおいちょう)」と呼ばれている髷(まげ)の部分も、参考資料をもとにして、実際と同じように作っています。
 
土俵については、正確なサイズをもとに作っています。一方で、背後にある鳥居については、カメラの位置を調整しながら、狙いどおりのサイズになるように大きさや縦横比を調整しています。また、カメラが下から横綱を見上げる角度だったので、遠近感がより感じられるように、鳥居の柱の角度も調整しています。
 

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3種類の質感設定をテスト?

質感設定を悩む

今回の制作で一番難しかったのが、質感をどのように設定するかでした。コンセプトは「日本の伝統や文化を、キャラクターと構造物でポップに表現する!」なので、ポップにする必要があることは間違いありません。ただ、このポップという概念を、脳内でビジュアルに変換するのが、思いのほか難しかったのです。
 
あれこれ案は浮かんだものの、どれがベストなのか確信が持てなかったので、ひとまず浮かんだ3種類の案を、実際に制作してみることにしました。実際に制作してみれば、どれが自分にとってベストなポップなのか、明らかになるだろうと考えました。
 

 

SSS & Translucent Materials

これは、SSS(Subsurface Scatteringの略)と、Trancelucent(半透明)を併せ持つ質感設定です。SSSは、光が半透明の物体を突き抜ける最中に、物体内で光が乱反射する現象を、3DCGで再現するための仕組みのことです。人間の手のひらを太陽にかざすと、手のひらの一部で太陽光が皮膚を突き抜けて、皮膚が赤くなって見えることがあると思います。SSSを使うと、そんな質感を3DCGで実現することができます。
 
上の参考画像では、球体の半径が大きすぎて、光が物体を突き抜けることができておらず、効果を感じるのが難しいかもしれません。下の章で、この質感設定の画像を見ると、多くの物体が半透明になっていて、物体の厚みによって微妙に色が違っていることが分かると思います。
 

 

Metal Figurine Materials

これは、金属で作られた置物のように見せるための質感設定です。イメージの源泉としては、京都などの観光地で売られている、ちょっと高級な金ピカの金属の置物です。ポップについて考えているときに、テーマの根幹にあるのが日本なのだから、日本的なポップというものが存在していても良いはずだと考えているうちに、浮かんできました。
 
横綱の肉体などは、ハンマーで叩いて金属を成形する鍛金加工(たんきんかこう)。腰の横綱は金属の線を束ねて縄っぽくして、化粧回しは滑らかな表面の金属に。鳥居は、表面に木目加工をした金属製で、背景は少しだけしっとりと和紙っぽく。
 

 

Halftone Cel-Edge Materials

Halftone(ハーフトーン)は、昔の印刷で使われていた網点(あみてん)という印刷方法を再現した質感です。昔の印刷では、紙に色のついた点を無数に並べることで、デザインや写真を印刷していました。そこで、影となる部分がHalftoneになるように設定して、点が少しずつ小さくなることで影のグラデーションを表現しています。
 
Cel-Edgeは、日本の漫画、海外のコミック、アニメーションなどで使われている、輪郭線で物体を描き分ける方法を再現した質感です。Cel-Edgeはあまりに一般的に使われている表現手法なので、あまり意識されることはありませんが、現実の物体には輪郭線は存在していません。
 

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横綱による奉納相撲

タイトル

完成した作品のタイトルは「Dedication Sumo by Yokozuna(横綱による奉納相撲)」としました。タイトルを英語にしたのは、海外の人にも分かってもらえるにするためです。
 

SSS & Translucent

半透明のグミやキャンディーのような質感を、うまく表現できました。色彩も水色の鳥居がとても爽やかで、脳内のポップという感覚に一番ふさわしいのが、この質感と色彩の組み合わせでした。
 

 

Metal Figurine

金属の置物のような質感は、うまく表現できたかなと思います。ただ、金属の置物という設定に縛られてしまったため、色彩の組み合わせが、平凡になってしまった気がします。金属は、普段から見慣れている物質なので、どうしてもリアルかどうかで判断してしまうところがあり、ポップにするのは難しいなと感じました。
 

 

Cel-Halftone

古いコミックのようなHalftoneとCel-Edgeは、うまく設定できたと思います。ただ、こちらもポップな色彩の組み合わせが難しくて、結局、平凡な色彩になってしまいました。もっとアメリカの古いコミックの色彩の組み合わせなどを研究した上で、制作するべきだったなと思います。
 

 

今後の展開について?

今後の展開については、公開できる作品がまだ1点しかないので、仕事に余裕がある時に、どんどん新たな3DCGのグラフィックスを制作していきたいです。コンセプトは、引き続き「日本の伝統や文化を、キャラクターと構造物でポップに表現する!」でいきます。脳内にアイデアがあれやこれやと渦巻いているので、次の題材を決めて、資料集めを始めたいと思っています。
 
3DCGのデザインやグラフィックスについては、次の作品ができたら、ウゴモーションのブログで紹介するつもりなので、首を長くして待ってもらえたら嬉しいです。
 

2021.08.20 / ウゴモーション / 小野直人

ウゴモーション / UGO MOTION

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